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初デート後妄想。
こんなんしてても良いなーって言う妄想。
妄想。






+++






「あらあら、西方さん今日はお若いお連れさんとご一緒ですのねぇ」




木の香りが鼻孔をくすぐる店の上がりかまちで
女将が柔らかい笑みを浮かべ、そう言った。

嫌味の一つも感じられない声色は安心感を覚えるのに充分で、
ずっと引っかかっていた事がぽろりと口をこぼれて出てしまう。

「親子みたいかな」

「ふふ、そんな事はありませんよ」
ころころと笑う姿は若い娘のようだが、確か俺より2、3歳は上だったはずだ。

「珍しくお一人じゃないって伺ったから、
一体どんな方を連れて来て下さるのかしらと思っていたんですよ。
とてもハンサムな方ですわね。ご友人さんかしら?
西方さんはちょっと真面目過ぎて面白くないかもしれないけど、
良い方ですから、仲良くして差し上げてくださいねぇ」
「女将さん…」

矢継ぎ早に繰り出される言葉に俺は苦笑を浮かべるしかない。

「はいはい、お部屋へご案内しますねぇ。
うちは和食ばかりなのだけれど、天麩羅なんかもありますから、
若い方にも満足して頂けるといいのですけれど。
あぁ、そうだわ、パスタでしたらお作り出来ますからね。
西方さんのお連れ様ですもの、何でも言ってくだされば善処させて頂きますから、
遠慮せずに仰ってくださいね」



「ありがとうございます」

と返す朝倉の表情が、いつもと変わらない笑みで少し安心した。










6畳ほどの個室に通されてほっと一息をつく。

メニューを拡げ飲み物を選びながら今日の礼を言う。

「今日は、本当に助かった。ありがとう」
「こちらこそ、楽しかったです。有難うございました」
礼に礼で返されて少し照れ臭くなる。
「そう言ってもらえると助かる。…、」

言葉を探す俺にふわりと笑みを浮かべて朝倉が言葉を掛けてくれる。
喋る事がない訳ではないのだが、
今の気持ちをどう伝えればいいのか…そもそも伝えて良いものなのか…そんな事が引っかかって上手く言葉が出てこないのだ。

「落ち着いた良い雰囲気のお店ですね。良く来られるんですか?」

このように気を遣わせて、これではどちらが年上だかわからない。
できる事ならスマートにエスコートしたかったが、
いかんせん慣れない事だらけでずっと空回りしていたような気もする。

「頻度はそうでも無いんだが、大学生の時OBに連れられて以来だからな、
…長い付き合いなんだ」


そうですかと笑む朝倉に性懲りも無く好きだなどと感じて、眩暈がした。

もうずっと恋などしなかったじゃないか…。


「もっと若者が行く様な店の方が良いかとも思ったんだが、朝倉の好みがわからなくてな…。
好みでは無いかもしれないけれど、割と融通も利かせてくれる店だから何でも言ってみてくれ。
お礼を、したいんだ。」

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